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20060411句(前日までの二句を含む)

April 1142006

 沖かけてものものしきぞかじめ舟

                           石塚友二

語は「かじめ(搗布)」で春。海藻の一種だが、ご存知だろうか。辞書ふうに説明すると「暖地の近海に産する大型の藻類で、直径1.5センチ〜3センチぐらいの円柱茎の上端に、細長い葉が群がっている」となる。よく似ているが「荒布(あらめ)」とは別種だ。山口県の田舎に暮らした子供のころ、海から遠い山村というのに、どういうわけか大量の干した搗布をよく見かけた。何度も触った記憶もある。昆布よりも黒みの薄い褐色で、お世辞にも見かけはよろしくない。食べられるそうだが、食べた記憶はないので、鶏や家畜の餌にでもしていたのだろうか。思い出そうとするのだが、どうしても思い出せない。そんな程度の記憶しかないのだから、もとより句のような情景は見たことがないのだけれど、作者が「ものものしきぞ」と詠んだ気持ちはわかるような気がする。素人目には、そんなに「ものものしい」感じで採りにいくものでもあるまいにと、搗布を知っている人ならそう思うのが普通だろうからだ。でも一方で作者はこの情景に接して、搗布の価値を見直してもいる。「ほお」と、心のどこかで身を乗り出している。こういうことは誰の心にもたまに起きることで、そのあたりの機微を巧く詠んだ句ということになるのだろう。それにしても、我が故郷での搗布は何に使われていたのか。思い出せないとなると、余計に気になる。『合本・俳句歳時記』(1974・角川文庫)所載。(清水哲男)




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