日本シリーズはお休みだ。淋しいが、緊張しなくてもよいので精神衛生には良いのかな。




20051024句(前日までの二句を含む)

October 24102005

 透く袋ぱんぱん桜落葉つめ

                           星野恒彦

語は「落葉」で冬。多くの木々の落葉にはまだ早いが、桜は紅葉が早い分だけ、落葉も早い。近所に立派な桜の樹があって、昨日通りかかったら、もうはらはらと散り初めていた。掲句は半透明のゴミ捨て用の袋に、散り敷いた「桜落葉」を集めて詰め込んでいるところだ。かさ張るのでぎゅうぎゅうと押し込み、ときおり「ぱんぱん」と袋を叩いて隙間を無くするのである。「ぱんぱん」という乾いた音が、よく晴れた秋の日差しに照応して心地よい。近隣の秋のフェスティバルだったか、あるいは保育園の催しだったか、参加者は「落葉を持ってきてください」と呼びかける広報紙を見たことがある。たしか持参者には、落葉の焚火での焼芋を進呈すると付記されていた。なかなかに粋な企画ではないか。そうして集めた落葉を何に使うのかというと、子供たちのために「落葉のプール」を作るのだという。そこら中に落葉を敷きつめて、その上で子供たちが転がったりして遊ぶためのふかふかのプールだ。実際に見に行かなかったのだけれど、面白い発想だなと印象に残っている。このときもおそらく主催者側では、集まる落葉の量がアテにならないので、掲句のように「ぱんぱん」と袋に詰めてまわったのだろう。どこにでもありそうな落葉だが、いざ意識的に集めるとなると、都会では大変そうだ。私はといえば、ときに本の栞りにと、銀杏の葉などを一二枚拾ってくるくらいのものである。「ぱんぱん」の経験はない。『邯鄲』(2003)所収。(清水哲男)




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