今月の看板写真は、二月に仙台を撮ってくれた相原亨さんの港町シリーズ。乞う御期待。




20050901句(前日までの二句を含む)

September 0192005

 秋風や壁のヘマムシヨ入道

                           小林一茶

ヘマムショ入道
存知でしたか、「ヘマムシヨ入道」。由緒正しいというのも変だけれど,これは江戸期の由緒正しい落書きの一つだ。現代人なら誰でも「へのへのもへじ(へへののもへじ)」の「文字絵」を知っているように,江戸時代の人にはおなじみの「絵」だったようである。「へのへのもへじ」が顔の正面をあらわしているのに対して、「ヘマムシヨ入道」は身体のついた横顔を表現している(図版参照)。そんな絵が壁に落書きされていても、べつに珍しいことではないはずなのだが、このときの作者はしばらく見入ってしまったのだろう。「秋風」に吹かれて、いささか感傷的になっていたのかもしれない。見つめているうちに、ちょっと気難しげな顔つきが気になってきて,この「入道」はいったいどんな人物なのだろうかなどと、いろいろと想像しているのではなかろうか。いずれにしても、何でもない落書きに目をとめたりするのは、四季のうちでも秋がもっとも似つかわしい。「秋思」という季語まであるくらいだ。文字絵に戻れば,「ヘマムシヨ入道」の発想はパソコン時代の顔文字やアスキー・アートに似ている。それらの元祖と言っても差し支えないだろう。だが、いつも不思議に思うのは、こういうことに西欧人はあまり関心がないらしい点だ。あちらのサイトをめぐっていても、顔文字などにはめったにお目にかかれない。何故なのだろうか。(清水哲男)




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