ディスカバリー打ち上げ延期。あちこち故障の多い「船」だ。止めたほうが良いのでは。




20050715句(前日までの二句を含む)

July 1572005

 椎の花降つて轍の深きかな

                           満田春日

語は「椎の花」で夏。もう花期は過ぎたかな。子供の頃、近所に椎の大木があった。夏は蝉取りの宝庫であり、秋には落ちてくる実を食べたものだが、花なんぞには関心がなかったので、つぶさに観察したことはない。ただなんとなく、淡黄色の花がわあっと固まって咲いていたような記憶が……。ただし、この花に「散る」という言葉が似合わないことだけはわかる。ちらほらと散るのではなくて、高いところから長い穂ごと落ちてくるからだ。調べてみると、これは雄花なんだそうだが、とにかく椎の花それ自体は強烈な匂いとあいまって、およそリリカルな情趣には遠い花だ。したがって、句の散文的な「降つて」の言い方は極めて妥当、降った花穂が「轍(わだち)」に嵌り込んでいて、そのことからあらためて轍の深さを思ったのも妥当な心の動きである。他の植物の花びらだと、よほど散り敷いている場合は別として、なかなか轍の深さにまでは思いが及ぶまい。やはり花びらとは言い難いボリューム感のある椎の花穂だから、落ちている量は少なくても、轍とその深さが鮮やかに思われたのだ。鬱蒼たる夏木立には、少し湿り気を帯びた風が吹いているのだろう。最近の道はどこもかしこも舗装されてしまい、轍を見かけることも少なくなってしまった。その意味でも、私には懐かしい土の匂いがしてくるような一句であった。『雪月』(2005)所収。(清水哲男)




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