今年のゴールデンウイークは理想的に休祝日が並んでいる。といって私には関係ないが。




20050404句(前日までの二句を含む)

April 0442005

 金貸してすこし日の経つ桃の花

                           長谷川双魚

語は「桃の花」で春。借金をする句は散見するが、金を貸した側から詠まれた句は珍しい。いずれにしても、金の貸し借りは気持ちの良いものではない。とくに相手が親しい間柄であればあるほど、双方にしこりが残る。頼まれて、まとまった金を貸したのだろう。とりあえず当面の暮らしに支障はないが、いずれは返してもらわないと困るほどの金額だ。相手はすぐにも返せるようなことを言っていたけれど、「すこし日の経(た)つ」今日になっても、何の音沙汰もない。どうしたのだろうか、病気にでもなったのだろうか。それとも、すぐに返せるというのは苦し紛れの口から出まかせだったのか。いや、彼に限っては嘘をつくような人間ではない。そんなことを思ってはいけない。こちらへ出向いて来られないような、何かのっぴきならない事情ができたのだろう。まあ、もう少し待っていれば、ふらりと返しにくるさ。もう、考えないようにしよう。等々、貸した側も日が経つにつれ、あれこれと気苦労がたえなくなってくる。貸さなければ生まれなかった心労だから、自分で自分に腹立たしい思いもわいてくる。気がつけば「桃の花」の真っ盛り。こういうことがなかったら、いつもの春のようにとろりとした良い気分になれただろうに、この春はいまひとつ溶け込めない。浮世離れしたようなのどかな花であるがゆえに、いっそう貸した側の不快感がリアリティを伴って伝わってくる。『花の歳時記・春』(2004・講談社)所載。(清水哲男)




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