February 22 2005
猫の恋声まねをれば切なくなる
加藤楸邨
季語は「猫の恋」で春。誰でも知っている恋猫の声だが、子供ならばともかく、大の大人になって真似してみる人がいるだろうか。私には真似した記憶がないけれど、しかしこの句を読んで、けっこう多くの人が真似しているような気がしてきた。実際、人はひとりでいるときに、何をしでかしているかわからないものだ。片岡直子に「かっこう」という詩があって「誰もいないへやで/私だけいるへやで//私は素敵なかっこうをしてみます//足をたくみにからませて/のばしてみたり……」とあるように、誰にもこうした似たような体験はあるだろう。猫の声を出してみることは、猫の気持ちになってみることである。一所懸命に鳴きまねをしているうちに、自分がどんどん恋に狂う猫になってくるのだから、ついには「切なくなる」のも当然だ。春愁一歩手前みたいな気分になったに違いない。ところで今日二月二十二日は「にゃん・にゃん・にゃん」の語呂合わせで「猫の日」である。恋猫の目立つシーズンだから、タイミングもちょうど頃合いだ。では、この日が決まってから、負けてはならじと招き猫愛好者が作った「招き猫の日」をご存知だろうか。日にちは九月二十九日。これをおめでたく「くるふく」と読んで制定したのだという。なんだか「くにく」のアイディアのようでもありますが(笑)。『猫』(1990・ふらんす堂文庫)所収。(清水哲男)
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