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20050202句(前日までの二句を含む)

February 0222005

 面体をつゝめど二月役者かな

                           前田普羅

月は生まれ月なので、今月の句はいろいろと気になる。この句もその一つで、長い間気にかかっていた。多くの歳時記に載っているのだけれど、意味不明のままにやり過ごしてきた。「二月役者」の役者は歌舞伎のそれだろうが、その役者が何をしている情景かがわからなかったからである。で、昨日たまたま河出文庫版の歳時記を読んでいたら、季語の「二月礼者(にがつれいじゃ)」の項にこうあった。「正月には芝居関係、料理屋関係の人々は年始の礼にまわれないので、二月一日に回礼する風習があった。この日を一日(ひとひ)正月、二月正月、迎え朔日、初朔日といった。正月のやり直しをする日と考えるのである」(平井照敏)。例句としては「出稽古の帰りの二月礼者かな」(五所平之助)など。読んだ途端に、あっ、これだなと思った。つまり「礼者」を「役者」に入れ替えたのだ。そういうことだったのかと、やっと合点がいった次第。積年の謎がするすると解けた。いくら人に正体を悟られないように「面体を」頬かむりしてつつんではいても、そこは役者のことだから、立居振る舞いを通じて自然に周囲にそれと知れてしまう。ああ名のある役者も大変だなあと思いつつ、しかし作者は微笑しているのだろう。大正初期の句だが、私などにはもっと昔の江戸の情景が浮かんでくる。なお、「二月」は春の季語。中西舗土編『雪山』(1992・ふらんす堂)所収。(清水哲男)




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