January 26 2005
わが肩に霞網めく黒ショール
梶川みのり
季 語は「ショール」で冬。最近のこの国でショール(肩掛け)といえば、なんといっても成人式での和装女性のそれが目に浮かぶ。申し合わせたように誰もが白いショールを羽織っているけれど、なかなかサマになる人はいないようだ。和装のついでに肩に無理矢理乗っけているといった感じ……。むしろ無いほうがすっきりするのにと、他人事ながら気がもめることである。ま、和装それ自体に慣れていないのだから、無理もないのだろうが。ところで、掲句のショールは洋装用だろう。写真は某社の商品カタログから抜いてきたものだが、「霞網(かすみあみ)めく」というのだから、たとえばこんなアクセサリー風の感じかしらん。たまに見かけることがある。おそらく作者は普段からすっと着こなしていて、しかしあるときいつものように肩に掛けると、なんだかふっと霞網にでもかかったような気持ちになったと言うのだ。ショールが霞網に感じられたということは、纏った作者自身はからめとられた不幸な小鳥ということになる。むろんそこまで大袈裟な感覚的事態ではないのだが、そうした想いが兆す作者の心の奥底に、私は自愛と自恃のきらめきを感じる。そのきらめきが、黒いショールを透かしてちらりちらりと見え隠れしているところに、この句の魅力があるのだと思った。『転校生』(2004)所収。(清水哲男)
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