スギやヒノキの花粉の飛散量が都内では昨年の30倍強という予想も。これまた天災だが。




20050123句(前日までの二句を含む)

January 2312005

 某日やひらけば吹雪く天袋

                           鳥居真里子

語は「吹雪く」で冬。「天袋(てんぶくろ)」は、和室の高いところ(押し入れの上部にある場合が多い)に設けられた収納スペースのこと。踏み台がないと開けないような高さなので、頻繁に出し入れする物の収納には向いていない。季節用品とか、卒業証書のように使わないけれど捨てられない記念の物などを仕舞っておく。だから、日頃はほとんど意識することの無い空間だ。それが「某日」、ふっと思い起こされた。で、開いてみたら中が「吹雪」いていたというのである。が、現実にはむろん作者は開いていない。あそこを「ひらけば」、きっと吹雪いていそうな気がしたということだ。想像の世界を詠んでいるわけだだが、想像だからどんな突飛なイメージでもよいということにはならないところが、俳句的喩の難しさだろう。この場合には、天袋と吹雪との取り合わせが、無理なくつながっている。天袋も吹雪も、この国の暮らしの土俗的な暗さの部分で溶け合っている。そしてまた、句からは天袋やタンスの引き出しなどを開けると、そこにはこの世ならぬ別世界があったという伝承の物語もいくつか想起される。そういうことどもが絡まりあって、掲句が決して安易な思いつき的着想に発していないことがうかがえるのだ。「俳句研究」(2005年2月号)所載。(清水哲男)




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