年に一度の大量の宛名書き。簡単な漢字が書けなかったり、自信が持てなかったり…と。




20041227句(前日までの二句を含む)

December 27122004

 十二月肉屋に立ちて男の背

                           正木浩一

の「十二月」は、年も押し詰まってきたころを思わせる。奥さんにでも、買い物を頼まれたのだろうか。ふだんなら主婦の姿しか見かけない「肉屋」の店先に、ひとり「男」が立っている。通りがかりの作者はオヤッと一瞥したに過ぎないが、彼の「背」からなんとなく躊躇しているような様子が読み取れてしまった。作者の直感は、まず間違いなく当っているだろう。こういうときの背中は雄弁なのだ。そしてこれも、微笑ましい歳末風景の一齣である。実際、慣れない場所にいる人というのは、表情を読むまでもなく、すぐにわかってしまう。日頃から人が集まる場所には、それなりに形成される自然の流れというものがあり、慣れない人にはその流れが身体でつかめないからだ。だから、動きがギゴチなくなる。広いスーパーマーケットであろうと、狭い肉屋であろうと同じこと。どこで、何をどうするか。頭でわかっているだけでは、身体をスムーズに流れに乗せることはできない。反対に慣れた空間では、頭よりも身体が先に動くという具合に行動できる。これはおそらく、慣れた場所では身体の各部に遊びがあるからに違いない。目的に向かって一直線ではなく、自然なふるまいというものは身体的な遊びが起こさせるのだと思う。どんなに良く出来たロボットでも、どこか動作がギゴチないのは遊びが足らないせいではなかろうか。すなわち、身体の無駄な遊びが無駄のない動きを作り出すということだろう。『正木浩一句集』(1993)所収。(清水哲男)




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