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October 07102004

 柚子味噌を載せてをります飯の上

                           吉田汀史

語は「柚(子)味噌」で秋。味付けをした味噌のなかに、柚子の表皮をすって混ぜ合わせる。その昔、ものの弾みから、本格的なふろふき大根をつくったことがあり、そのときにはむろん「柚子味噌」もちゃんとつくった。たまたま美味かったけれど、以後は良い大根もなかなかないし、何よりも面倒臭いので、それっきりになっちゃった。かれこれ二十年も前の話である。という具合に、ふつう柚子味噌は料理の調味料に使うものだ。それを作者は「飯の上に載せて」いると言うのである。つまり、ご飯のおかずというのか、ご飯を美味しく食べるためにそうしているのだ。こりゃ、いいなあ。と、すぐに思った。というのも、戦後の混乱期に何もおかずがなかったとき、仕方なく味噌や塩を「飯」といっしょに食べた体験があるからだ。単なる味噌に比べれば、柚子味噌は上等中の上等だから、当時を思い出して咄嗟にそう反応したのだった。作者にも同様の体験があるのだろうが、しかし、句の書き方はどこかでちょっと照れていて微笑ましい。飽食の時代に、わざわざ粗食を選んだのではない。おそらく君たちは知るまいが、これは別に奇異な食い方じゃないんだ、本当に美味いんだからと、いささか開き直り気味の照れ隠しと読んだ。詠めそうで、詠めない句。その前に、誰もなかなか、こういう句を詠もうとはしない。俳誌「航標」(2004年10月号)所載。(清水哲男)




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