プロ野球選手会がストライキへ。実行すれば、相手方の膿も自分側のも出る。貫くべし。




2004年9月2日の句(前日までの二句を含む)

September 0792004

 何がここにこの孤児を置く秋の風

                           加藤楸邨

浮浪児
のページを八年ほど書いてきて、その折々の選句を振り返ってみると、結局私の関心やこだわりは先の大戦と敗戦以降の数年間に集中していることがわかる。年代でいえば、少年時代だ。たとえ時世に無関係なような花鳥風月句でも、どこかであの時代の何かに関わっている。いつまでも拘泥していてはならじと、時にジャンプしてはみたものの、またあの頃にいつしか回帰してしまっている。偶然に生き残った者のひとりとしての私……。この意識からは、何があってももう抜け出せないだろう。昨日、話題の『華氏911』を見に行ってきたけれど、いまひとつ入りきれなかったのは、マイケル・ムーア監督の位置がブッシュ大統領と同じ超大国の地平上にあったからだ。この映画は超大国の長としてのブッシュを実に痛快に告発しているのだが、弱小国イラク民衆の「何がここに」の呟きのような疑問に応える姿勢はさして無いと言ってよい。いや、理念としてあるのは認められるが、映像的には希薄だったとするほうが正確か。敗戦国の一国民たる私は、その点にいささかの消化不良を起こしたのだった。ま、しかし、これはあくまでも「アメリカ映画」なのである。掲句は、戦後一年目くらいの東京・上野の光景だ。引用した林忠彦の同時期の写真を見れば、戦争を知らない人でもいくばくかは作者の苦しい胸の内がおわかりいただけるだろう。この二人、その後はどうしたのだろうか。いまでも元気でいるだろうか。『野哭』(1948)所収。(清水哲男)




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