台風10号接近中。今年の夏は猛々しい。せっかくの夏休み、事故など起きませんように。




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July 2972004

 嘆きとかアイスキャンデーとか湖畔

                           池田澄子

語は「アイスキャンデー(氷菓)」で夏。言葉には表情がある。「湖畔(こはん)」は「湖のほとり」や「湖の近辺」を意味するに過ぎないが、しかし「湖のほとり」と「湖畔」とでは明らかに表情が違うのである。湖畔はいわば雅語であり、あまり俗なことを言うときには似合わない。高峰三枝子の流行歌「湖畔の宿」ではないけれど、傷心の女が訪ねたりするのが湖畔なのであって、句の「嘆き」はそのあたりに通じさせてある。で、一方の「アイスキャンデー」は俗の代表みたいなもので、嘆きとセットでイメージしてみると、湖畔という言葉の持つ雅びな雰囲気はぶちこわしだ。第一、傷心の女がアイスキャンデーを舐めたのでは、絵にならない。でも掲句は、湖畔といっても「いろいろ、あらあナ」と皮肉っているだけではないだろう。人は言葉を操っているうちに、言葉それ自体についてまわっている一般的な表情を、はぎ取りたい欲望にかられるときがある。季語としての言葉などはその代表格で、何でもよろしいが、名句やら何やらがつきまとうが故の季語の表情に、イライラした経験を持つ人も多いだろう。だから私は掲句を、湖畔という言葉への皮肉ととる前に、言葉の表情への苛立ちをそのまま軽いジャブとして突き出してみせる作者の手つきのほうに惹かれた。俳誌「豈」(39号・2004年7月30日刊)所載。(清水哲男)




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