今週は珍しく原稿仕事が混みあっている。週末には余白句会。無事にしのげるかな。




2004ソスN6ソスソス14ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

June 1462004

 到着の遅れてをられ夏料理

                           原田 暹

語は「夏料理」。見た目にも涼しく、さっぱりした味の夏の料理の総称だ。特別な料理でなくても、たとえば冷奴や胡瓜もみなども含む。が、掲句の場合には「特別」な料理だろう。ままありがちだが、宴会の開始時間を過ぎても主賓がなかなか姿を現さない。句の主賓はかつての恩師か、会社を退職した元上司といったところか。みんなが集まって、もうすっかり料理も運ばれてきているというのに、招待した主賓を欠いては会をはじめるわけにもいかず、とくに幹事役は困惑する。ちょっと「遅れてをられ」るようで……などと、誰にもわかりきった言い訳をしながら、入り口の方をちらちらうかがったりしている。なにしろ料理が夏向きだけに、時間が経つにつれて冷やしたものの味は落ちてしまう。せっかく美しく添えられた氷片も、無惨に溶けていく。ビールも生温くなってくる。辛抱たまらず、一人が「そろそろはじめようか」と言い、「そうもいかないだろう」ともう一人が言う。この句の面白いところは、時間の経過とともに「遅れてをられ」の敬語に込められるニュアンスが変わっていくところだ。予定時間の十分後くらいまでだと、この敬語には主賓を心配する色合いがまだ濃いのだが、二十分後ともなると苛立ちの念が濃くなり、それ以上だと徐々に怒気が込められ、最後には呆れたと言わんばかりのニュアンスに転化してしまう。句のシーンは、いったい何分後くらいのことなのだろうか。そう想像してみると、待ちくたびれている人々には申し訳ないが、だんだん可笑しさがこみ上げてくる。臨場感あふれるとは、こういう句を指して言う。『天下』(1998)所収(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます