March 2732000

 たんぽぽのサラダの話野の話

                           高野素十

んぽぽが食べられるとは、知らなかった。作者も同様で、「たんぽぽのサラダの話」に身を乗り出している。「アクが強そうだけど」なんて質問をしたりしている。そこから話は発展して野の植物全般に及び、「アレも食べられるんじゃないか、食べたくはないけれど」など、話に花が咲き、楽しい話は尽きそうにもない。この句は、いつか紹介したことのあるPR誌「味の味」(2000年4月号)の余白ページで見つけた。いつものことながら、この雑誌の選句センスは群を抜いていて、読まずにはいられない。偶然だろうが、これまた楽しみにしている詩のページに、坂田寛夫のたんぽぽの詩「おそまつさま」が出ていた。全文引用しておく(/は改行)。「ストローをくわえるかっこうで/すこしずつ/ウサギの子がたんぽぽを/茎の方から呑みこんでゆく/しまいに花びらが小さい口のふたをした/いいにおいをうっとり楽しむかと思ったら/ひと思いに食べちゃった/「おいしかった」/ため息まで聞こえたような気がしたから/たんぽぽもさりげなく/「おそまつさま」/と答えたかったが/ぎざぎざに噛みひしがれて目がまわり/先の方はもう暗い胃散にこなれかけている」。今日は「味の味」におんぶにだっこ、でした。(清水哲男)




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