September 1591999

 年寄の日と関はらずわが昼寝

                           石塚友二

いていの祝日は押しつけがましいが、敬老の日は、なかでも相当にいやな感じのする日だ。理由は、書くまでもないだろう。年寄りの気持ちも考えずに、各自治体では慰安会などを開いてお茶を濁すのが「敬老の日」だ。そんなお仕着せ行事に「関はらず」昼寝を決め込んだ作者に、拍手を送りたい。だいたい弁当つきやバスによる送迎つきの慰安会など、誰が嬉しいと思うものか。思うとすれば、手間のかかる老人が、その時間だけでも不在になる家族の誰かであろう。たまたま近隣の市の市報を見ていたら、慰安会の対象は60歳以上と書いてあった。げっ。となれば1938年生まれの私も、仮にここの市民であったとすると、出かけていって手品や歌謡ショーを見る資格があるわけだ。でも、仮に出かけたとして、下手な(失礼)芸人が帽子から鳩を出したり、「憧れのハワイ航路」などを歌う中身に耐えられるとは思えない。だいたい「慰安」という発想が、安易なのだ。発想が安易だから、ついでに芸人の芸も安易になる。自治体も芸人も、ともに「おじいちゃん、おばあちゃん」とひとまとめに老人を見下して失礼とも感じない鈍感さが、今日は全国的に我が物顔にまかりとおるのだ。こんな馬鹿なことに税金を使っている場合かよ。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます