February 0621999

 水温み頁ふえたり週刊誌

                           三宅応人

刊誌は気が早いから、暦の上で春ともなれば、すぐに「春爛漫・男と女の事件簿大特集」などと銘打って増ページ号を出したりする。作者がいう週刊誌がどんな種類のものかは知る由もないけれど、普段より分厚い雑誌を購ってなんとなくトクをしたような気分と「水温み」とが、ほんわかと照応している。週刊誌と季節感との取り合わせも、珍しい。ただし、私はひところ週刊誌の仕事をしていたことがあるので、いまもってこういう気分にはなれないでいる。「増ページ」と聞くだけで、輪転機の回る直前まで必死に原稿を書いている人々の姿を思い浮かべてしまうからだ。「大変だなあ」という感情のほうが、先に立つのである。若くなければ、とてもあんな苛酷な仕事はこなせない。身体の調子が悪いときなどは、実際泣きそうになる。それはともかくとして、掲句の「頁」という漢字の読み方をご存じだろうか。句では当然のように「ページ」と読ませているが、「ページ」は英語だから、正しい読み方ではありえない。では、何と読むのか。私の交友範囲では、これまでにすらりと読めた人はひとりもいなかった。ぜひとも、お手元の辞書を引いてみていただきたい。(清水哲男)




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