April 121998
春たのしなせば片づく用ばかり
星野立子
窓を開けたほうが暖かく感じる。そんな日がつづくと、洗濯や掃除など、主婦の仕事は大いにはかどる。はかどることが、また次の用事を片づけることに拍車をかけてくれる。洗濯や掃除といっても、立子の時代には洗濯機や掃除機があるわけではなし、主婦は大変であった。とくに作者の場合は、主婦業の他に、俳人としての仕事もあったわけで、ついつい先伸ばしにしていた「用」も、いろいろとあったことだろう。しかし、億劫に思っていた「用」も、やりはじめてみれば何のことはない。簡単にすんでしまう。それもこれもが、この明るい季節のおかげである。こういうことは、主婦にかぎらず、もちろん誰にでも起きる。春はありがたい季節なのだ。地味な句だが、季節と人間の関係をよくとらえていて卓抜である。『続立子句集第二』(1947)所収(清水哲男)
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