December 03121997

 寒雀子規全集に夜明けたり

                           田川飛旅子

規全集を読み耽っているうちに、しらじらと夜が明けてきた。朝の早い雀たちが、もう庭に来て元気に鳴いている。勉強をした後の充実感。全集の名前をかえれば、これに近い経験はまたこの句の読者のものでもある。それにしても、夜通し本を読み続けられたのは、何歳くらいまでだったろうか。四十代に入ると、たとえ遊びでも徹夜がきかなくなったことを覚えている。その代わりに、雀たちと同じ時間に起きられるようにはなったけれど……。ところで、せっかくの句の雰囲気をぶちこわすようだが、この時期の雀は実に美味である。田舎にいたころは、竹の弾性を利用した罠で捕獲して、毎日のように焼き鳥にして食べていた。そんな具合だったから、雀の様子に風流心など持てるはずもなかった。(清水哲男)




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