November 27111997

 冬の日の三時になりぬ早や悲し

                           高浜虚子

句で「冬の日」は「冬の一日」のこと。冬の太陽をいうこともあるが、そちらは「冬日」ということが多い。日照時間の短い「冬の日」。この時期の東京では、午後四時半くらいには暮れてしまう。したがって、三時はもう夕方の感じが濃くなる時間であり、風景は寂寥感につつまれてくる。昔の風景であれば、なおさらであったろう。句に数詞を折り込む名人としては蕪村を思い起こすが、この句でもまた「三時」が絶妙に利いている。「二時」では早すぎるし「四時」では遅い。ところで、今日の午後三時、あなたはどこで何をしている(していた)のでしょうか。(清水哲男)




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