November 20111997

 疲労困ぱいのぱいの字を引く秋の暮

                           小沢昭一

集『変哲』(1992年・三月書房)より。90年の作。いやあ、よくわかるなあ、この気持ち。実は評者も目下、経済不如意、痛風持ちの上に、先頃自転車で転んで手をつき指し、直ったら今度は中耳炎の再発で右耳が良く聞えない、という散々な状態なのです。そして同じように「ぱい」の字がわからないので、老眼鏡を掛けて字引を引いたという次第。疲労困憊。本来は今は初冬で秋の暮ではないのだが、今年は変に暖かく、まだ冬には早い感じ。でもすぐ冬になるのだ……、やれやれ。「変哲」は小沢昭一の俳号。この句集は中高年のオジサンにとっては、実にアリガタイ句集です。(井川博年)




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