November 16 1997
黄落やジーンズ家族に空の青
藤田直子
さながら、この季節の家庭雑誌の表紙絵のようだ。晴れた日の昼下がり、ジーンズ姿の一家四人(とは書いてないけど)が黄落する山道か公園を歩いている。真青な空を背景に、黄色い木の葉がときおり舞い落ちてくる。おだやかな小春日の、なんでもない一齣だが、この種の記憶は案外いつまでも残るものなのだ。ひょっとすると「黄落」は「行楽」にかけられているのかもしれない。そう読むと、ちょっと怖い。この一家のささやかな幸福感も、やがては枯れて散りはててしまうことを、作者が予感していることになるからだ。でも、たぶんこれは深読みだろう。字面通りに素直に受け取っておくほうが楽しいし、精神衛生的にもよろしいと思う。余談だが、一年中ジーンズで通している私には、俳句にジーンズが出てくるだけで、単純に嬉しくなってしまうところがある。『極楽鳥花』(1997)所収。(清水哲男)
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