November 13111997

 焚火せる子らは目敏く教師を見

                           森田 峠

者は高校教師(市立尼崎高校国語科担当)だったから、焚火をしているのは高校生たちだ。下校途中の空き地か河原あたりの情景だろうか。「ウチの生徒だな」と作者が気がつくのと同時くらいに、いやそれ以前にか、もう生徒たちは目敏く(めざとく)も自分の姿を認めてしまっている。いつの時代にも、教師と生徒との関係はこんな具合であるようだ。雑踏のなかを歩いていても、いちはやくお互いを発見してしまえるのも不思議といえば不思議である。何か特殊なテレパシーでも働くのだろう。日常的に、それほどの緊張関係にあるということである。同じ作者に「うしろにも眼がある教師日向ぼこ」がある。『避暑散歩』(1973)所収。(清水哲男)




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