October 18101997

 ぎんなんのさみどりふたつ消さず酌む

                           堀 葦男

杏で一杯やっている作者。その実のあまりの美しさに口に入れるのがだんだん惜しくなり、最後の二つは残しておいて、今度はその姿をサカナに飲みつづけている。たしかに銀杏はこの句のように美しいし、この酒も美味そうだ。平仮名表記が、銀杏の色彩と感触をよく表現している。どうですか、今夜あたり銀杏で一杯と洒落れこんでみては……。電子レンジがあれば、拾ってきた銀杏を適当な封筒に塩少々と混ぜて入れ、密封してチンすれば出来上がり。つまり、銀杏が封筒の中で爆発するわけです。知り合いの主婦から教えてもらった。(清水哲男)




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