October 03101997

 登高ののぼりつめればラーメン屋

                           大野朱香

野朱香さんは1955年生れの女流俳人。「これはもう裸といえる水着かな」という句で知られる。亡き江國滋さんが『微苦笑俳句コレクション』に何句も採っているのもうなずける。江國さん、好きだったんだ。私も好きな俳人です。「登高(とうこう)」は秋の季語。もともとは重陽の節句に、文人が高きに登って詩を詠じた故事をいう。最近は秋の気候の良い頃のハイキング気分の語となっている。その坂道ののぼりつめたところがラーメン屋だったんだ。なんだ、なんだ、といいながら、それでも食べるラーメンは、きっと美味しいだろうなあ。(井川博年)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます