September 3091997

 稲を刈る夜はしらたまの女体にて

                           平畑静塔

で刈る昔の稲刈りの光景。日がある間に、黙々と一株ずつ刈り取っていく。力がいるので、田植えは手伝える小学生も、稲刈りは無理である。重労働なのだ。この句は、そんな激しい労働に従事する若い女性をうたったもの。稲を刈る人々はみな同じようににしか見えないけれど、しかし、そのなかに白い玉のような輝くばかりの肉体の持ち主の存在を想像したところが眼目である。「夜はしらたまの女体」とは、いささか耽美的に過ぎるともいえようが、労働を扱った句としては異色中の異色だろう。なべて詩の第一の要諦は「発見」にある。(清水哲男)




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