September 2591997

 闇にただよふ菊の香三十路近づきくる

                           中嶋秀子

ろうとして床につくが、なかなか寝つけない。部屋に活けた菊の濃密な香がただよっていて、心なしか息苦しい感じさえする。思えば、三十路も間近だ。もうそんなに若くはないのだから、もっとしゃんとしなければという自戒の念。三十路に対しては、男よりも女のほうが敏感だろう。このとき作者は結婚しているが、現代の「結婚しない女たち」にとっても、三十路に入る心境は複雑なようだ。新聞や雑誌が、繰り返してそんな女性たちのレポートを載せている。『花響』所収。(清水哲男)




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