September 211997
本郷に残る下宿屋白粉花
瀧 春一
白粉花(おしろいばな)は、どこにでも自生している。名前を知らない人には、ごく小さな朝顔をギューッと漏斗状に引っ張ったような花と説明すれば、たいていはわかってもらえる。花は、白、赤、黄色と色とりどりだ。夕方近くに花が咲くので、英語では「Four O'clock(四時)」という。我が家の近所の公園にある花も、取材(!)したところ、ちゃんと四時には咲きはじめた。昼間は咲かないので、いつもしょんぼりとした印象を受ける人が多いだろう。そのあたりの雰囲気が、昔ながらの古めかしい下宿屋のイメージにぴったりとマッチする。細見綾子に同じ本郷を舞台にした「本郷の老教師おしろい花暗らし」があって、こちらは咲いているらしいが、やはり陰気なイメージである。(清水哲男)
『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます
|