September 0591997

 容赦なき西日敗戦投手かな

                           佐藤博美

西日は夏の季語とされるが、実際には太陽が真向かいに来る秋口のほうがまぶしく濃い。高校野球の試合だろうか。敗戦投手のいたましさを、さらにクローズアップするかのような西日が強烈だ。およそピッチャーなる「人種」は人一倍プライドが高いのが普通で、したがって哀れさも余計に拡大されてしまう。暑さも暑し、観客である作者はうちひしがれた投手のそんな姿を正視できない気持ちだ。間もなくこの秋にも、来春の甲子園を目指して、三年生を除いた新チームによる秋季高校野球大会が開幕する。『七夕』所収。(清水哲男)




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