July 2571997

 百日紅この叔父死せば来ん家か

                           大野林火

起でもない話だが、この家が代替わりすれば、こうやって毎夏訪れることもなくなるのだろう。叔父も老齢だ。何事もなかったように、庭の百日紅(さるすべり)だけは咲きつづけるのだろうけれど……。百日紅の花は勢いがよく花期も長いだけに、しばしば逆に死のイメージと結びつけられてきた。独特の花の赤い色が、そうした連想をさらに助長するのかもしれない。鷲谷七菜子に「葬終へし箒の音や百日紅」がある。(清水哲男)




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