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June 2561997

 麦笛や四十の恋の合図吹く

                           高浜虚子

品に言えば、秘めた恋。いまふうに言えば、不倫。手紙や電話で相手を呼び出すわけにはいかないので、一計を案じた句。いい年をした大人が麦笛など吹くわけはないから、その常識を逆手に取ったのである。虚子センセイも、なかなか隅に置けなかったのだなとは思うけれど、どことなく嘘っぽい。句が出来過ぎているからだろう。ところで、いまだったらこんな場合にどうするだろうか。ほとんどの男は、ポケベルを使うのでしょうな。(清水哲男)


July 0372012

 麦笛や♪めぐるさかづき♪あたりまで

                           戸恒東人

句の歌詞は「春高楼の花の宴」で始まる土井晩翠作詞滝廉太郎作曲の『荒城の月』。このあと、♪めぐるさかづき♪が続く。これでワンコーラスという短い間であることが分るのだから、唱歌というのはすごいものだ。麦笛は茎の空洞を利用して、息を吹き込む。折り取った茎の途中に、爪や歯を使って小さな穴を開けたり、茎に葉を巻いて吹くなど方法はさまざまだが、どちらも折り口に唇を当てれば、清涼感あふれる香りが胸を満たす。『荒城の月』は古風な歌詞に西洋風のメロディーが融合した名曲とされるが、子ども心にも物悲しく、無常を感じさせるものだった。めぐるさかづき、のワンフレーズあたりが麦笛という小道具をさみしくさせすぎない頃合いなのかもしれない。『白星』(2012)所収。(土肥あき子)




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