June 2261997

 ほうたるや闇が手首を掴みたり

                           藤田直子

句があるような気がする。あっても一向に構わないが、そんなふうに私が感じたのは、この闇の中の感性が女性特有のものであり、共通する感性が生んだ句をいくつも読んで啓蒙されてきたからだろう。幻想か、現実か。それはどちらでもよいのだし、どちらでもないのかもしれない。いずれにしても、闇が女を確実に女にすることがあるということだ。それにひきかえ、男の蛍見物などは、まことにもって無邪気なものである。男はむしろ、闇の中で幼児化してしまう。『極楽鳥花』所収。(清水哲男)




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