June 0361997

 学成らずもんじゃ焼いてる梅雨の路地

                           小沢信男

書きに「月島西仲通り」とあり、東京下町の風景であることがわかる。この句と「もんじゃ焼き」については種村季弘の『好物漫遊記』(ちくま文庫)中に「月島もんじゃ考」の項があるので御覧を乞う。小沢さんは何言おう。評者達詩人の俳句会「余白句会」の師匠である。従って弟子としては梅雨がくる度にこの句を宣伝したい。人口に膾炙する迄「もんじゃの小沢」を宣伝しまくりますぞ。この句、小沢さんによれば「学のあるひとばっかりが誉めるんだよねえ……」。それはそうでしょう。小年老イ易ク 学成リ難シ 一寸ノ光陰 軽ンズベカラズ。『東京百景』(89年・河出書房新社)所収。(井川博年)




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