May 2451997

 襖除り杜鵑花あかりに圧されけり

                           阿波野青畝

っと読み下せた人は、なかなかの漢字通です。「ふすまとりさつきあかりにおされけり」と読む。大勢の客を迎える準備だろうか。部屋をブチ抜きにするために、襖を外したところ、杜鵑花(さつき)が満開の庭の明るい光がどっと入ってきて、思わず気圧されてしまったという構図。いかにも初夏らしい気分を的確にとらえた、見事な作品である。杜鵑花は「つつじ」の親戚だが、陰暦の五月に咲くので「さつき」となった。ところで、今週あたりから来月上旬にかけて、各地で「さつき展」が開かれる。今年は、桜からはじまって一般的に開花が早いので、あまり盛り上がらないのではないかと、これは関係者の話。(清水哲男)




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