May 141997
女教師の眉間の傷も夏めけり
清水哲男
「夏めく」は微妙な季語である。まだ春の雰囲気が残っているころ、なにげないものに夏の匂いを感じるというわけである。歳時記では「夏」。生と死のぎらぎらする夏。「女教師の眉間の傷」は短編小説に発展する素材でもある。作者は多分、その時中学生(高校生かな)。いずれにしろ微妙な年齢である。見てはならないものを見てしまったというより、それに魅せられ想像力をふくらませているとも言えるが、むしろ冷静に大人びた観察をしているように思える。その傷ははつかな汗に淡い光を帯びている。『匙洗う人』所収。(佐々木敏光)
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