April 291997
おだまきの花より美しきひとめとらむ
牧ひでを
観賞用に栽培されているが、詩歌に出てくるのは、ほとんどが高山に自生するミヤマオダマキ(深山苧環)だ。たとえば、萩原朔太郎「夜汽車」の「ところもしらぬ山里に/さも白くさきてゐたるをだまきの花」など。仲春から初夏にかけて、白色または青紫色の花を下向きに開く。花の形は「苧環」(つむいだ麻糸を玉の形に巻いたもの)に似ている。一見地味で清楚なたたずまいだが、よく見るとなかなかに艶っぽい花でもある。そこで、この句が生まれたのだろう。「美しき」は「はしき」。(清水哲男)
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