April 1741997

 草餅に異な振舞や鯲汁

                           服部土芳

馳走になるのは嬉しいが、草餅と鯲汁(どじょうじる)がいっしょに出てきた。現代ならば、さしずめケーキに味噌汁が添えられているようなものだ。一瞬、何故なんだと挨拶に困ってしまう。ミスマッチである。しかし、いつの時代にもその家の流儀というものはあるわけで、今では西瓜に砂糖添え程度ならザラだろう。もっとも、コーラを飲みながら寿司を食べる現代っ子たちには、草餅と鯲汁だって平気かもしれない。となると、この句の面白さを理解できる人は、遠からず存在しなくなってしまうということになる。土芳は伊賀上野藩士。蕉門。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます