April 0441997

 考へてをらない蝌蚪の頭かな

                           後藤比奈夫

(かと)はお玉杓子、つまり蛙の子のこと。たしかに頭が大きくて、人間でいえば秀才タイプに属しそうだが、さにあらず。こいつらは何も「考へてをらない」のだと思うと、ひとりでに微笑がわいてくる。楽しくなる。しかし、その何も「考へてをらない」蛙の子に、最前からじいっと見入っている俺は、はたして何かをちゃんと考えているのだろうか。蝌蚪の泳ぐ水にうつっている自分の顔を、ちらりと盗み見してみたりする。(清水哲男)




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