March 1831997

 春の夜や後添が来し灯を洩らし

                           山口誓子

い間やもめ暮らしだった近所の家に、珍しく遅くまで灯がともっている。再婚するという噂は耳にしていたが、どうやら噂は本当だったようだ。と、作者は納得し、微笑している。それでなくとも、春の夜には艶っぽい雰囲気がある。したがって、シチュエーション的にはいささか付き過ぎ、出来過ぎか……。永田耕衣に「春の夜や土につこりと寂しけれ」がある。むしろ、こちらの句にリアリティを感じるという読者も多いだろう。(清水哲男)




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