March 1231997

 食堂車花菜明りにメニュー読む

                           杉原竹女

菜は「菜の花」の別称。食堂車のテーブルに菜の花が活けてあり、あたかも花の明かりでメニューを読むような、楽しい気分。窓外の風景にも、時々菜の花畑が現れては消えていく。新幹線のビュッフェなどでは味わえない心持ちである。昨今の鉄道は能率一本やりで、情緒がなくてつまらない。昔の食堂車の料理は、美味とは言えず高価でもあったが、旅の楽しさを演出してくれていた。汽車の旅の楽しさをいま求めるとなると、さしずめヨーロッパの鉄道あたりだろうが、テレビで見るかぎりは演出過剰気味のように思える。手元不如意のときに、あちらでは駅弁を売ってないのも困る。(清水哲男)




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