February 2421997

 ごうごうと鳴る産み月のかざぐるま

                           鎌倉佐弓

ょせん、男にはわからない句かもしれない。が、子供の玩具である風車が轟いて聞こえるという妊婦のありようには、出産への凛とした気構えが感じられる。やがて訪れる事態は甘いものではない。人生の一大事なのだ。作者には他に「手がさむし君のあばらに手をやれば」「受胎して象のあくびを眩しみぬ」などがある。いずれの句にも、どこかで風車がまわっている。『天窓から』所収。(清水哲男)




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