February 2321997

 春風や恥より赤きドレスを着て

                           中烏健二

て、どんな色だろう、「恥より赤き」色とは……。などと考えてみても、もちろんわかりっこない。そもそもが「赤恥」というときの「赤」それ自体が色彩ではないからだ。これは、作者のちょっとした思いつきで書かれた句。書いてみたら、作者にはなんだかとんでもなくトンチンカンな色彩が現出してきたようで、面白い味が出たというところか。春風のおおらかな気分ともマッチしている。言葉遊びの句には飽きてしまうものが多いが、少なくとも私のなかでは、この句、けっこう長生きなのである。『愛のフランケンシュタイン』所収。(清水哲男)




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