February 1021997

 目覚めけり青き何かを握りしめ

                           沼尻巳津子

動。「青き何か」の意味はわからないけれど、作った人の心のありようは、すっきりとよくわかる。決して曖昧な世界ではない。一所懸命に生きている人でないと、絶対にこうした句はできないだろう。繰り返し読むほどに、読者の心も引き締まる。作者は俳句的には晩学の人で、四十代になってから作句をはじめたようだ。それにしても、最近の私は、夢の中でさえ何かを強く握り締めたことはない。そうしようと思ったこともない。猛省。『華彌撒』所収。(清水哲男)




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