January 0411997

 味気なきたるみ俳句の御慶かな

                           加藤郁乎

さんではないが「それを言っちゃあオシマイよ」という句。御慶本来の意味は、新年にお互いに述べ合う祝辞のことだが、ここでは賀状での挨拶と読んでおく。となれば、なるほど賀状に記されてくる句は、昔から「たるみ俳句」が多い。傑作は少ない。めでたさを意識するあまりに、句づくりの姿勢までもが、ついおめでたくなってしまうからだろう。といって、ここで作者はべつに目くじらを立てているわけでもない。酔余の舌打ち。そんな程度である。これよりも郁乎新春の句に「ひめはじめ昔男に腰の物」という凄いのがある。さしあたっての私には、この句を解説する「めでたさ」の持ち合わせはないのだけれど……。『粋座』(ふらんす堂文庫)所収。(清水哲男)




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