December 27121996

 真顔して御用納の昼の酒

                           沢木欣一

用納め、仕事納めの日には、ほとんど仕事らしい仕事はない。出勤して机の上などをきれいにしているうちに、半日が経ってしまう。昼ごろになると、部署ごとに全員が集まり、エラい人が年末の挨拶をして乾杯の運びとなる。宴会ではないから、みな「真顔」だ。そして半刻もすると三々五々退出していくのだが、なかに「真顔」の酒に火をつけられた何人かで、これから街に繰り出そうという相談がまとまったりする。サラリーマン時代の私は、常に後者であった。(清水哲男)




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