散るべき葉がことごとく散ってしまうと、今までは見えなかった遠くの木も見えてきて、風景が一変する。この季節の夕刻は大気も澄んでくるので、なおさらである。そろそろ歳末のあわただしい気分になろうかというころ、作者は束の間の静かな夕景に心を休めている。さりげない表現だが、十二月を静的にとらえた名句のひとつだろう。『有為の山』所収。(清水哲男)
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