November 29111996

 白鳥は悲しからんに黒鳥も

                           高屋窓秋

語は白鳥。もとより若山牧水の「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」のパロディ。作者は明治34年生まれ。戦前の新興俳句運動の旗手として「山鳩よみればまはりに雪がふる」等の名作を書いている。「馬酔木」「天狼」を経て、平成の世になってから孫ほども年の違う若い世代の集う前衛誌「未定」の同人となる。この句を見てもまったく年を感じさせない。永遠の青年である。平成8年作。「未定」(68号)所載。(井川博年)




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