November 26111996

 ふろふき味噌へ指で字をかく馬喰宿

                           奥山甲子男

理屋などの膳の上に、ちょこんと乗っている上品な「風呂吹き大根」ではない。太い大根をザクリザクリと輪切りにして茹で、無造作に大皿に盛って客に出す。したがって、たれ味噌もたっぷりだ。話の途中で、紙と鉛筆なんて面倒臭いから、目の前の皿の味噌に字を書いて何かを説明しているという構図。馬を扱う荒くれ男たちの表情までが浮かんでくる、野趣あふれる作品である。(清水哲男)




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