November 22111996

 夕焼は全裸となりし鉄路かな

                           あざ蓉子

あ、わからない。いや、わかるようでわからない。実は、この句。この夏の「余白句会」に蓉子さんが熊本から引っ提げてきた句のひとつで、結構好評であった。その後「俳句研究」9月号に掲載され、「俳句」11月号の鼎談(阿部完市・土生重次・青柳志解樹)でも話題になった。ポイントは「夕焼は」の「は」だろう。これを「に」にするとわかりやすいが凡庸となる。鼎談で阿部氏が述べているように、切字に近い「は」だと思う。そう理解すると、夕焼も鉄路もひっくるめての全裸という趣き。大いなる輝き。無季句と読みたいところだが……。(清水哲男)




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