November 19111996

 木枯や二十四文の遊女小屋

                           小林一茶

井蒼風著『俳諧寺一茶の芸術』に、こうある。「江戸時代、もっとも下等な遊女小屋である。一茶もまた貧苦。孤情の鴉で、木枯の夜、二十四文の遊女小屋に、冬の夜の哀れを味わったのかも知れない。木枯、二十四文の語が、とくに侘びしい場末の淪落の女を感じさせて、一人に哀れである」。荒涼たる性。その果てのさらなる荒涼たる心象風景。文政十年(1827)十一月十九日、小林一茶没。この人は農家に生まれながら、ついに生産的な農耕の仕事とは無縁であった。享年六十五歳。翌年四月、後妻やを女の娘やた誕生。(清水哲男)




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